「啓蟄」ニュース - 歯止め利かない価格下落

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【迷走コメ農政】(1)歯止め利かない価格下落
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080315-00000048-san-l02

■増える「減反破り」...農協離れも進む
1枚のポスターが東北で物議を醸している。「米の作りすぎはもったいない!」「米の過剰作付けは資源のムダづかい」?。

コメあまりによる米価下落に歯止めをかけたい東北農政局が作製したものだが、過激なフレーズに生産者側から「農家に対する侮辱」と猛反発を受け、掲示拒否が相次いでいる。かみ合わない両者の主張は、コメ農家の苦悩と農政の迷走ぶりを浮き彫りにする。(山口圭介、小野田雄一)

啓蟄(けいちつ)の5日、宮城県のコメどころ大崎市で「ひとめぼれ」を作り続けてきた横山正光さん(61)は、タクシーのハンドルを握りながらつぶやいた。

「ポスターで言いたいことは分かるけど、あの表現はちょっとね。農政局はコメ農家がどれだけ我慢してきたか、分かってないよ」

横山さんはかつて専業農家だった。だが「もうコメで生計は立たない」と、タクシー運転手のかたわら、休日に細々とコメを作る兼業に転じた。

「政府は生産調整(減反)を守れば、コメの価格は安定するというけど、いくら協力しても下落する一方」。かつて1俵(60キロ)2万円で売れた横山さんのひとめぼれは、昨年1万1000円にしかならなかった。

コスト割れに苦しむ生産者は少なくない。収入減が著しいコメ農家の労働報酬を時給換算すると、256円(平成18年)という試算もあるほどだ。

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米価下落の原因について、農政局の田中宏樹企画調整室長は「生産調整に協力せず過剰作付けする農家が増え、コメが余っているから」と説明する。過剰作付けは、平成16年のコメ政策改革後に全国で急増。同年は2・5万ヘクタールだったが、19年には7・2万ヘクタールに拡大した。

東北6県も計2・5万ヘクタール(19年産米)もの過剰作付けが行われ、全国の35%を占めた。コメから他作物への転換を訴えようと、2月に農政局が作ったのが問題のポスターで、自治体や農協に3万部が配布された。

農家の怒りを買う結果になったが、農政局食糧部は「過剰作付けを解消しないと米価は安定せず、最終的に困るのは農家」と減反への協力を求める。

しかし、18年度はコメ農家の13%が生産調整を拒否。「規模拡大でコストを削減している専業農家など、米価が下がっても、過剰作付けでコメを多く作った方が高収入になると考える農家が増えている」と同部は頭を抱える。

また過剰作付けが全国ワースト1(19年産米)だった福島県の農政担当者は「福島など首都圏に近い地域では、農協を通さず直接買い付けに来る業者が多く、小規模の農家も過剰作付けに走りやすい」と県内での減反破りの横行について説明する。

同県で生産されるコメのうち農協に集まるのは約4割に過ぎない。他県でも独自の販売ルートを開拓したコメ農家は生産調整に協力しない傾向にある。

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一方で政府は今年度から、生産調整の主体を農協などの生産者団体へと移したが、これが過剰作付けに拍車をかけた。自民党の農水族幹部は「農協が生産調整でリーダーシップを取れなかった」と述懐する。

コメの流通自由化で、農家が直接業者らに販売するようになり、農協の集荷シェアは全国で4割程度まで低下。農家の農協離れが進み、農協の影響力は低下していた。

いくら手を打っても減反破りは増える一方で、コメ政策の柱の生産調整は機能不全に陥っていた。

政府は米価を下支えするため、昨年10月から34万トンを備蓄米として買い上げ急場をしのいだ。しかし備蓄量は上限に達しており、過剰作付けが続けば、20年産米のさらなる価格下落は避けられない。

「先が見えない」

横山さんは子供にコメ作りを継がせないつもりだ。瑞穂の国とうたわれた日本のコメ作りが窮地に追い込まれている。再生の道はあるのか。

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【用語解説】コメの生産調整

食の多様化などでコメ消費が減る中、作付面積を減らす「減反」によって供給を調整し価格の安定を図る、国の統制色の強い政策。昭和46年に導入された。

だが減反農家への交付金など財政負担が大きい上に、生産者側の不満も根強く、国は平成14年、生産調整への関与を弱める方針を決め、19年度から農協中心に移行した。

ところが過剰生産が拡大したため、国はわずか1年で方針を転換。20年産米は再び国が指導に乗りだし、生産調整の徹底を図る方針。

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